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「PC/FC-9800シリーズ対策ソリューション」で拓くスマートファクトリー化への第一歩
~老朽化による“事業継続リスク”解消へ~【2022.07.13】
カテゴリ:DX・業務改革推進生産技術・製造スマートファクトリー(IoT基盤/AI)
NECは協力会社と連携し、PC/FC-9800シリーズ エミュレータの導入による老朽化パソコンのリプレイスソリューションを提供しています。これにより生産設備用PC/FC-9800シリーズ(以降、PC-98)をWindows 10上で稼働するシステムに置き換え、PC-98の老朽化による事業継続リスクを解消。加えて、この導入を期に、お客様の生産現場のスマートファクトリー化をご提案していきます。
NEC 第三製造ソリューション統括部 ソリューション営業グループ
プロフェッショナル 原田 祐介
稼働がストップするリスクへの対応
NECは、1982年から2003年まで、パーソナルコンピュータの「PC/FC-9800シリーズ」を販売し、総出荷台数1,800万台以上というヒットを記録しました。このPC-98は、生産設備や計測器のコントローラ(FC)としても利用され、現在も製造業のお客様の現場を中心に約10万台が稼働していると言われています。主力の製品ラインは最新設備に更新されていても、少量しか生産しないサブ的な品目のラインでは、古いPC-98がそのまま用いられているケースが少なくありません。
しかし、PC-98は最新のものでも販売終了から20年が経過し、老朽化により稼働がストップするリスクがあります。故障に備えて中古の予備機をストックしているお客様がいらっしゃるのはいいのですが、いざという時に予備機が動かないという場合があるのです。また、古いので導入時の担当者がいなかったり、仕様書や資料が残っていないといったことが起こりがちです。とは言え、生産設備ごと入れ替えるには高額な費用がかかってしまい、頭の痛い問題になっているのです。
そこで、PC-98のメーカーとしての責任を果たす一環として、NECはこうした課題に対応すべく、PC/FC-9800シリーズ エミュレータを開発した協力会社と連携し、全国のPC-98ユーザーのお客様に対して本ソリューションをご提供する体制を整えました。
設備新設の1/10のコストで可能
PC/FC-9800シリーズ対策ソリューションは、PC-98のハードウェアとソフトウェアをWindows 10上で動作(エミュレート)させるソフトウェアで、稼働中の生産設備コントローラなどのプログラムはノータッチ、つまり一切の変更なしでWindows 10上で動作させることができるようになります。
しかしながら、このソフトウェアだけで生産設備を動作させることができるわけではありません。PC-98にはCバスボードという機能拡張ボードが実装され、そこからケーブルなどで生産設備に接続されているのですが、Windows 10端末の場合はCバスボードをPCIボードなどにリプレイスする必要があります。その場合、コネクタの形状や信号のピンアサインが異なっているので、生産設備にそのままでは接続させることができません。
そこで当社では、既存の配線にリプレイスしたPCIボードを接続するためのコネクタ変換を行なっています。リプレイス対象となるPC-98がコントロールしている生産設備などはお客様によって様々であり、接続状況や環境もそれぞれ異なっています。そこで、このコネクタ変換はお客様の現場環境に応じてご提供しています。
つまり、このソリューションは、PC部分のソフトウェア、PCIボード、コネクタ変換の3点によって構成されています。大きなポイントは、先述したとおり既存の生産設備コントローラなどのプログラムに一切触れないこと。つまり、PC-98の中味をそっくりそのままWindows 10環境に移植できることです。これによって、一から新しい環境をつくり直す場合に比べ、ある事例では10分の1程度のコストで済ませることができました。
なお、PC/FC-9800シリーズ対策ソリューションによるリプレイス作業は、まず現地でHDDのバックアップおよびハード・ソフトの現状把握などで1日、当方での検討および機器設定などの作業で3日ほどを要し、そこでリプレイスの可否を判定します。可の場合は、新しい端末やPCIボードなどの手配に約4週間、新しい端末への設定に約1週間、現地での接続作業や動作確認に2日というスケジュールで進行させます。
ちなみに、これまで手掛けてきた中で、手に負えないごく一部の特殊なケースを除いてほぼ全てのリプレイス案件を成功させてきました。現状、国内でこの様なDX化を含めたリプレイスに対応している例はあまり見られないと思います。
スマートファクトリー化への第一歩に
PC/FC-9800シリーズ対策ソリューションによるリプレイスは、お客様の生産現場をスマートファクトリー化に導く契機にも位置付けています。
PC-98は、それまでスタンドアローンの生産設備コントローラなどとしてお使いいただいていたわけですが、これがWindows 10になればネットワークに接続することが可能となります。そうなると、生産設備から作業者(Man)、方法(Method)、材料(Material)、機械(Machine)、環境(Environment)、および計測器の測定(Measurement)の、いわゆる“5M1E”データを抽出することができるわけです。これらのデータはそれまで手作業で抽出していたわけですが、これを自動的に抽出・蓄積し、生産データの見える化や分析に利活用できます。つまり、工場のDXであり、IoTやAI、MESなどを活用するスマートファクトリーへの第一歩に繋がるのです。
これまでNECは、お客様の生産現場でものづくりを支援してまいりました。近年になって、『ものづくり共創』活動の中でPC-98の老朽化による事業継続リスクを心配する声が届くようになりました。
そこで、PC/FC-9800シリーズ対策ソリューションをこうした生産現場にお届けすることを機に、現場に入らせていただき、お客様の生産現場の刷新や高機能化など、課題解決に貢献させていただきたいと考えています。
あるお客様からは「35年前に導入したPC-98についてわかる人がいなくなり、仕様書なども残っていないので諦めていた」という声も聞きました。決して諦めることなくご相談いただきたいですし、その先の生産現場のスマートファクトリー化による大幅な生産性向上にも、ぜひ共に取り組ませていただければと思っております。
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